どうもぱんこです☆
最近は学会が母乳育児を推奨する方針です。
母乳育児をすることで免疫がついたり、落ち着かせたり、脳の発達や将来の病気の発症率を下げる、母子の関係を良好にするなど様々な恩恵が得られると言われています。
メリットが大きいことから医療者側は授乳育児を推奨はしますが、母乳が出なかったり、赤ちゃんの飲みが悪いなどで母乳育児を続行できない場合もあります。
母乳育児を強く勧め過ぎて、お母さんを精神的に追い詰めることがないよう配慮もしましょう。
【目次】
母乳育児とお薬
お母さんが病気になった際にいかに授乳を中断せずに治療をするのかが重要になっています。
今回は授乳とお薬についてお伝えします。
まず授乳婦へのお薬の治療を行うにあたり、乳児への影響を最小限にすることを考えます。
たいていのお薬は授乳中に使用しても母乳に移行する量はわずかであり、影響があることはほとんどないと言われています。
🎋母乳に移行しやすいお薬の条件
※分子量が小さいお薬(分子量500以下)
※弱塩基性のお薬
※脂溶性のお薬
※血漿蛋白結合率が低いお薬
※身体にとどまりやすいお薬(半減期が長い)
※中枢神経に働きかけるお薬
🎋授乳とお薬の安全の評価方法
お薬の量をお母さんと子供の体重で標準化して評価を行う相対的乳児薬物投与量(RID)で評価します。
RIDは10%未満であれば安全と言われていて多くは1%未満です。
日本における授乳婦さんへの治療への問題点
基本的にお薬の使用方法についてはお薬の説明書(添付文書)に従います。
しかしここで問題になってくるのが日本の添付文書は「服用中は授乳を回避させること」「服用中は授乳を中止させること」と記載してあることが多いです。
基本は従うのですが、授乳婦に関しての治療は添付文書に従うと授乳できなくなります。
よって、ほかに情報が必要となります。
使用できるお薬を調べる方法
調べる方法としておすすめしているのが大分県の産婦人科医会が出版している【母乳と薬ハンドブック】とアメリカの【Lact Med】です。
とくに日常的な使い勝手を考慮すると 【母乳と薬ハンドブック】はかなりおすすめできます。
夜間の当直をしている医師から授乳婦さんの問い合わせがくることがよくあったので当直室にこの本を配置したところ問い合わせは来なくなりました。
この記事を書いている時点(2019年9月)で第3版が発行されていて日常業務の改善具合を考慮すると1500円はかなり良心的な金額です。
授乳婦さんを診療する医療機関は全てこの本を配置することをおすすめします
母乳と薬ハンドブックの使い方
目的の医薬品を索引で探します。
大分県母乳と薬剤研究会の見解と添付文書でのこの薬の扱いが記載されています。
みてみるとかなりの数のお薬が添付文書では授乳禁止となっていることがわかります。
基本的にはこの◎か◯になっているお薬を選択します。
そのお薬の研究会での評価の理由、根拠の文献も記載してあるため大変わかりやすいです。
また夜間にでるお薬というのはある程度パターンが決まっています。
🎋解熱・鎮痛、アレルギー、去痰、咳止め、抗生剤など
薬剤師の当直がない病院ではこのハンドブックをもとにリストを作成していると当直時の効率が格段にアップします。
まとめ
授乳婦さんへのお薬の治療についてお薬の添付文書通りだとほぼ授乳ができなくなります。
授乳をやめさせることがないようにしましょう。
効率的に調べることのできる母乳とくすりのハンドブックを使って日常診療やお薬の説明に役立ててください。
今回は以上です。
ではまたお会いしましょう🐼